APC(自動番組制御装置)

Automatic Program Controller / エーピーシー

放送局のマスターで、運行表どおりの時刻に番組やCMを切り替えるために送出設備を制御するシステムです。営放システムから受け取った放送スケジュールにもとづき、送出サーバーやスイッチャーへ秒単位で制御信号を送ります。

役割
放送スケジュールに従って送出系の各装置を制御し、番組・CM・番宣を送信所へ送り出す
置かれる場所
マスター(主調整室)に付属する
スケジュールの入手元
営業放送システム(営放システム)から運行データをLAN経由で受け取る
時刻の基準
時計装置からの時刻信号
制御する主な装置
送出サーバー(ビデオファイル)、CMバンク、マトリックススイッチャ、ミクサー・キーヤー、字幕送出装置
略称
メーカーによって異なる(東芝はAPC、NECはAPSと呼ぶ)
返す情報
制御の結果である放送済みデータを営放システムへ戻す
手動への切り替え
障害時や報道特番のために、割り込み操作卓などで手動送出へ移れる仕組みを併設する

放送局のマスターに人がほとんど座っていないのに、番組とCMが秒単位で切り替わり続けます。動かしているのは自動番組制御装置です。運行表を読み、送出サーバーやスイッチャーへ時刻どおりに命令を出す装置で、局によってAPC、APS、自動編成装置などと呼ばれます。

自動番組制御装置が使われる場面

朝から深夜までの放送の大半が、この装置で自動運行されています。民放では、営業部門がCMの枠を売り、編成部門が番組を並べた結果が営業放送システム(営放システム)にまとまり、そこから1日分あるいは数日分の運行データがLAN経由で自動番組制御装置に渡ります。装置は時計装置の時刻信号に従って、次の素材を用意し、切り替えの命令を出していきます。

制御される相手はマスターの中のほぼすべての装置です。番組の本体を出す送出サーバー、CMを出すCMバンク、入力を切り替えるマトリックススイッチャ、提供クレジットや番組名のスーパーを合成するキーヤー、字幕を送り出す装置が対象になります。放送が終わった結果は放送済みデータとして営放システムに戻され、CMが予定どおり流れたことの確認に使われます。

制作側から見ると、納品した完パケがここに載ります。素材の頭に何秒のカラーバーとカウントダウンを付けるか、本編の開始フレームをどこにするかという納品の決まりは、自動番組制御装置が素材を頭出しして再生する動きに合わせたものです。1フレームずれると放送に出ます。

自動番組制御装置の仕組み

装置の中身は、運行データを蓄えるデータサーバー、時刻に従って命令を出す制御部、監視机に置かれる操作端末に分かれます。操作端末では運行データを直接書き換えられるようになっており、放送中の急な差し替えに対応します。規模の大きい局では、データサーバーを独立させて二重化する構成が取られます。

初期の装置は、運行の内容を装置に直接打ち込む方式でした。現在は上位のシステムから運行データを受け取る形が一般的で、ファイルベース化によって素材もテープからサーバー上のファイルに移りました。テープの装填機を制御していた時代と比べると、制御の相手はサーバーと多重化装置が中心になっています。

略称は1つに決まっていません。東芝の資料ではAutomatic Program Controllerの頭文字からAPC、NECの資料ではAutomatic Program Control SystemからAPSと書かれます。仕様書や議事録で略称が混ざっていても、同じ役割の装置を指していると考えて読み進められます。

自動運行と手動送出の切り替え

自動で走っているからこそ、止めるための手段が要ります。ほぼすべてのマスターには、簡易な割り込み操作卓やタッチパネルで放送本線に直接割り込める機能が用意されています。地震の発生で報道特別番組に切り替えるとき、装置の障害が起きたとき、素材が出てこないときに、手で送出を続けるための経路です。

最悪の停波を避けるため、「しばらくお待ちください」の画面へ切り替えるスイッチも同じ場所に置かれます。自動運行に障害が出た場合は、監視の担当者がマスタースイッチャーとして手動送出を引き受けます。編成とCM編成の担当者がマスターに駆けつけ、放送内容の変更を指示する運用も、この手動への移行の一部です。

よくある質問

自動編成装置とAPCは同じものですか

同じ装置を指します。Automatic Program Controllerの頭文字からAPCという略称が使われます。メーカーによってAPSという略称も使われるため、資料に出てくる略称だけで別の装置だと判断しないほうが安全です。

自動番組制御装置と編成システムは何が違いますか

編成システムや営放システムは、どの番組とCMをいつ流すかを決めて運行データを作る側です。自動番組制御装置はその運行データを受け取り、時刻どおりに装置を動かす側です。決める側と実行する側で分かれています。

マスターが無人でも放送できるのはなぜですか

運行データと時刻信号があれば、番組とCMの切り替えは装置が続けられるためです。ただし完全な無人ではなく、多くの局では監視の担当者が映像と音声の品質と進行を見ています。常時無人で運用されるのは、一部の配信や専門チャンネルのマスターに限られます。

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似ている用語との違い

名前主に使う場面APC(自動番組制御装置)との違い
マスター送出を担う部屋と設備場所と設備全体の呼び方。APCはその中で運行表に従って各装置を動かす頭脳の部分
送出送り出す行為業務そのものの呼び方。APCはそれを自動で行う装置の呼び方
キューシート番組内の進行表番組の中の進行を書いた紙や表。APCが読むのは局全体の1日の運行データ

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