ファイルベース
ファイルベース
映像と音声をビデオテープではなくファイルとして記録し、編集・納品・送出・保管まで受け渡していく運用のことです。放送局では、HDCAMなどのテープで素材を運ぶ運用から、MXFファイルを中心とした運用へ移ってきました。
- 意味
- 映像・音声をファイルとして記録・編集・受け渡し・送出・保管する運用
- 対になる運用
- テープベース(VTRテープに記録し、テープを運んで受け渡す)
- 主な記録メディア
- プロフェッショナルディスク、SxSメモリーカード、P2カード
- 中心になるファイル形式
- MXF(放送)、MOV(編集)
- 局納品での代表的な形式
- XDCAM HD422 50Mbps のMXF
- 保管の主な媒体
- LTO、ディスクストレージ
「ファイルベースに移行する」と言われても、何がテープのときと違うのかは見えにくいものです。変わったのは記録媒体だけではありません。素材のコピー、確認、受け渡し、保管の単位が「テープ1本」から「ファイル1つ」になり、作業の速さもトラブルの種類も入れ替わりました。
ファイルベースが放送の現場で使われる場面
撮影では、ソニーのXDCAMカメラがプロフェッショナルディスクやSxSカードに、パナソニックのカメラがP2カードにMXFで記録します。取材から戻ったカメラマンは、テープを渡す代わりにカードを編集機につなぐか、局のサーバーへファイルを取り込みます。
納品もファイルが主流です。番組の完パケは、XDCAM HD422で書き出したMXFをプロフェッショナルディスクに記録して届けるか、ネットワーク経由で送ります。CMでは、2017年10月に東京・名古屋・大阪を含む19局がオンラインでのCM素材の受け入れを始め、ディスクを運ばない搬入が広がりました。
局の中では、送出サーバーやCMバンクがファイルのまま素材を持ち、放送スケジュールに従って自動で送り出します。放送が終わった素材は、MXFのままLTOなどに保管されます。
テープからファイルベースへの移行で変わったこと
テープの時代は、ダビングも試写も実時間でした。60分の番組をコピーするには60分かかります。ファイルなら、ストレージの速度しだいで数分で複製でき、同じ素材を編集・字幕・MAなどの複数の部署が同時に開けます。プロキシと呼ばれる軽いファイルを作っておけば、記者や編成担当が自分の席で素材を探すこともできます。
一方で、テープのラベルや箱のように「見れば分かる」管理はなくなります。どの素材がどこにあるかは、ファイル名とメタデータ、それを束ねるMAMの管理に頼ることになります。
ファイルベース運用で起きやすいトラブル
ファイルは目に見えない分、テープとは違う形でトラブルが起きます。現場でよく聞くものは次の通りです。
- カードのMXFだけをコピーして、同じフォルダの管理用XMLを置いてきたため、編集ソフトがクリップとして認識しない
- コピーの途中で失敗したことに気づかず、元のカードを初期化してしまう
- 1080iと1080p、59.94と29.97の取り違えで、納品先のサーバーが素材を受け付けない
- ファイル名の付け方が部署ごとに違い、同じ素材が何重にも保存される
コピーの確認には、ファイルのハッシュ値を記録して照合するMHLのような仕組みが使われます。
ファイルベースとIP化の違い
どちらも「テープやケーブルから離れる」話なので混同されますが、対象が違います。ファイルベースは録画済みの素材をファイルとして扱う話、IP化はスタジオやマスターを流れる生の映像信号をSDIからIPネットワークへ移す話です。IP化の仕組みはMedia over IPとはで解説しています。
よくある質問
ファイルベースとテープベースの違いは何ですか
テープベースは素材をVTRテープに記録してテープごと受け渡す運用で、コピーや試写に実時間がかかります。ファイルベースは素材をファイルとして扱うので、複製や転送が速く、複数人で同時に使えます。
ファイルベースの放送局納品はどんな形式ですか
地上波の民放では、XDCAM HD422 50MbpsのMXFを指定されることが多いです。細かい条件は局ごとの納品仕様書で決まるので、書き出す前に必ず確認してください。
ファイルベースになってもテープは使われていますか
収録や納品ではテープの出番はほとんどなくなりましたが、保管用のデータテープとしてLTOは広く使われています。過去のHDCAMなどのテープ資産をファイルへ移し替える作業も続いています。
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似ている用語との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ファイルベースとの違い |
|---|---|---|
| IP化 | 局内の信号伝送 | SDIケーブルで流していた生の映像信号をIPネットワークで送る話。ファイルベースは録った素材をファイルで扱う話 |
| テープベース | HDCAMなどでの受け渡し | 素材が1本のテープに実時間で記録され、コピーやチェックも実時間かかる |
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