AV1
AOMedia Video 1 / エーブイワン
GoogleやNetflixなどが参加するAOMediaが2018年に仕様を公開した、特許料のかからない動画圧縮方式です。HEVCと同水準の圧縮効率を持ち、YouTubeやNetflixの配信で使われています。
- 策定団体
- Alliance for Open Media(AOMedia)。2015年設立
- 仕様の公開
- 2018年(AV1 Bitstream and Decoding Process Specification 1.0.0)
- ライセンス
- ロイヤリティフリー(AOMedia Patent License 1.0)
- プロファイル
- Main(4:2:0・10bitまで)、High(4:4:4まで)、Professional(4:2:2・12bitまで)
- 入れ物(コンテナ)
- MP4、WebM、MKV
- MP4・WebMでの識別子
- av01
- 主なソフトウェア実装
- libaom、SVT-AV1、rav1e(エンコーダ)、dav1d(デコーダ)
- ハードウェア対応の例
- NVIDIA GeForce RTX 40シリーズとIntel Arcでエンコード、Apple A17 ProとM3以降のチップでデコード
YouTubeで動画を再生しながら右クリックで「詳細統計情報」を開くと、コーデックの欄に av01 と表示されることがあります。これがAV1です。視聴者が意識しないうちに、大手の動画配信ではすでに主要な方式の一つになっています。
AV1が使われる場面
中心はWeb配信です。YouTubeは2018年からAV1での配信を始め、Netflixも2020年以降、対応端末に向けてAV1の配信を広げています。配信事業者にとっては、同じ画質で送るデータ量を減らせることがそのまま回線費用の削減になり、特許料もかからないため、再生できる端末が増えるほど切り替える理由が大きくなります。
配信の仕組みとしては、MPEG-DASHやHLSで画質の段階を複数用意する中に、AV1の段階を加える形が一般的です。AV1に対応しない端末にはH.264やVP9の段階を配り、対応する端末にだけAV1を届けます。
制作側でも、ゲーム実況や配信の録画でAV1を選ぶ場面が増えました。OBS StudioはNVIDIAのRTX 40シリーズやIntel Arcのハードウェアエンコーダを使ってAV1で記録できます。静止画のAVIF形式も、AV1の技術をもとにしています。
AV1の動画の再生方法と開けないとき
Chrome、Edge、FirefoxはAV1を再生できます。Safariは、AV1のハードウェアデコーダを載せたA17 ProやM3以降のチップを搭載した機種で対応しています。
Windowsの標準アプリで開けないときは、Microsoft Storeの「AV1 Video Extension」を入れると再生できるようになります。VLCはdav1dというデコーダを内蔵しているので、追加の導入なしで開けることが多いです。古いパソコンではソフトウェアで復号するため、4Kの再生がカクつくことがあります。
AV1へのエンコードと編集ソフトでの扱い
AV1はエンコードの計算量が大きい方式です。リファレンス実装のlibaomは画質を追い込めますが時間がかかり、実務ではIntelとNetflixが開発したSVT-AV1や、GPUのハードウェアエンコーダを使うのが一般的です。フィルムグレイン(粒状感)を別の情報として持ち、再生時に合成し直す道具があるのもAV1の特徴で、粒子の多い映画の素材でビットレートを抑えられます。
編集ソフトでのAV1の読み込みは、ソフトのバージョンやGPUによって対応に差があります。AV1の素材を編集するなら、ProResやDNxHRのようなフレーム内圧縮の形式にトランスコードしてから取り込むと、再生の重さと互換性の問題をまとめて避けられます。
よくある質問
AV1とHEVCはどちらが画質が良いですか
同じビットレートで比べると、AV1はHEVCと同じかやや良い結果が出ることが多いとされます。ただしエンコーダの種類と設定で結果は大きく変わるため、方式の差より設定の差の方が効くこともあります。
AV1はiPhoneで再生できますか
A17 Pro以降のチップを載せた機種は、ハードウェアでAV1を再生できます。それより前の機種では、AV1のファイルを標準のアプリで開けないことがあるため、iPhoneで確認してもらうファイルはH.264かHEVCで渡すのが無難です。
AV1は無料で使えますか
AOMediaがロイヤリティフリーのライセンスで提供しているため、エンコーダやデコーダを製品に組み込んでも特許料はかかりません。H.264やHEVCとの違いはここにあります。圧縮性能の比較はH.264とH.265(HEVC)の違い|書き出しで迷わない判断軸でも扱っています。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | AV1との違い |
|---|---|---|
| H.265 / HEVC | 4K放送・iPhoneの撮影 | 圧縮効率は同水準だが特許料がかかる。Apple製品やテレビでの対応はHEVCが先行した |
| VP9 | YouTube・WebM | AV1のもとになったGoogleの方式。対応機器は多いが圧縮効率はAV1より低い |
| H.266 / VVC | 次の世代の放送 | ITU-T系の後継規格。放送での採用が先行し、ブラウザ対応はAV1が先に進んでいる |
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