HDCAM SR
エイチディーカム エスアール
ソニーが2003年に投入した、HDCAMの上位にあたる1/2インチテープのVTR規格です。MPEG-4 Studio Profileで10bitの映像を440Mbpsなどで記録し、映画やドラマ、海外への番組販売のマスターとして使われました。
- 開発
- ソニー(2003年)
- 規格
- SMPTE 409M
- 映像圧縮
- MPEG-4 Part 2 Simple Studio Profile
- 記録モード
- SQ 440Mbps、HQ 880Mbps、SR Lite 220Mbps(59.94i)
- 映像
- 1920×1080、10bit、4:2:2または4:4:4 RGB
- 音声
- 最大12ch、24bit/48kHz
- 現在の状況
- VTRとカムコーダーの販売は2016年3月末で終了
海外の配給会社から「マスターはHDCAM SRで」と指定された時代がありました。HDCAM SRは、テープでありながらフル解像度の10bitと12chの音声を1本に収められたため、映画やドラマの最終マスターを受け渡す標準の媒体として使われていました。
HDCAM SRが使われた場面
いちばん多かったのは、映画やドラマ、CMの完成マスターです。グレーディングまで終えた映像を、画質をほとんど落とさずに保存できる媒体として、ポストプロダクションの最終工程で書き出されました。海外への番組販売では、国際版の音楽と効果音だけのトラックや複数の言語の音声を、12chの中に並べて1本のテープで納める運用がよく見られました。
撮影でも、HDCAM SRのカムコーダーや、シネマカメラにつなぐポータブルレコーダーが、映画やハイエンドのドラマに使われました。2つの映像の系統を同時に記録できるSRW-5800のようなデッキは、立体映像の制作にも使われています。
ソニーはHDCAM SRをファイルで記録する流れも作り、メモリーカードにSRのコーデックでMXFを記録するSRMASTERを展開しました。その後、マスターの受け渡しはProResやIMFのようなファイルの形式に移っています。
HDCAM SRとHDCAMの違い
名前は似ていますが、中身は別物に近い規格です。違いは次の通りです。
- 映像の解像度は、HDCAMの1440×1080に対して、HDCAM SRは1920×1080のフル解像度
- ビット深度は、HDCAMの8bitに対して、HDCAM SRは10bit
- 色は、HDCAMの3:1:1に対して、HDCAM SRは4:2:2、4:4:4 RGBも記録できる
- 音声は、HDCAMの4chに対して、HDCAM SRは最大12ch
テープの外見は似ていても、HDCAMのVTRではHDCAM SRのテープを再生できません。
HDCAM SRをファイル化するとき
HDCAM SRのデジタル化には、SRW-5500などのHDCAM SRのデッキと、HD-SDIを受けるキャプチャー機器が必要です。4:4:4 RGBで記録されたテープは、HD-SDIを2本使うデュアルリンク、または1本で運べる3G-SDIの出力を受けられるキャプチャー機器でないと、色の情報が落ちます。
取り込み先の形式は、4:4:4のテープならProRes 4444、4:2:2なら10bitのProRes 422 HQが一般的です。音声は12chすべてを受けられるよう、SDIに埋め込まれた音声のチャンネル数とキャプチャー側の設定を合わせます。どのチャンネルに何が入っているかはテープごとに違うので、ケースやラベルに書かれた割り当ての情報も一緒に記録しておくと、後で使うときに困りません。
よくある質問
HDCAM SRのテープはHDCAMのデッキで再生できますか
再生できません。HDCAM SRのテープはHDCAM SRに対応したデッキで再生する必要があります。
HDCAM SRの画質は非圧縮と比べてどうですか
圧縮はしていますが、440Mbps以上の高いビットレートで10bitのまま記録するため、通常の視聴で劣化が分かることはほとんどありません。HDCAMと比べると、ビットレートは3倍以上です。
HDCAM SRの代わりに今は何で納品しますか
映像のマスターはProRes 422 HQやProRes 4444、配信や海外販売ではIMFのパッケージで納めるのが一般的です。具体的な形式は納品先の仕様書に従います。
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | HDCAM SRとの違い |
|---|---|---|
| HDCAM | 放送の番組納品 | 同じ1/2インチテープの下位規格。1440×1080・8bit・4chで、画質と音声の余裕が小さい |
| ProRes 4444 | ファイルのマスター | 4:4:4の映像をファイルで持つ編集向けの形式。テープの代わりに映像のマスターとして使われる |
| IMF | 配信・海外販売の納品 | 映像・音声・字幕を別々のファイルで持つ納品パッケージ。多言語版の管理をテープより柔軟に行える |
関連する用語
最終更新