現場用語収録編集送出

ワイプ

wipe / ワイプ

テレビ画面の隅に小さな窓を開けて、スタジオの出演者の表情など別の映像を重ねる演出のことです。もともとは、図形の境目が画面を横切って次の映像に切り替わる、スイッチャーの切り替え効果の名前でした。

テレビでの意味
画面の隅の小窓に別の映像を重ねる演出
本来の意味
図形の境目で画面を切り替えるトランジション
英語で近い語
picture-in-picture(PinP / PiP)、wipe transition
作る機材
映像スイッチャーのDVEやPinPの機能、編集ソフトの位置とスケールの調整
よく使われる番組
バラエティ、情報番組、VTRを見ながら進めるスタジオ番組
画面上の注意
テロップや字幕放送の字幕と重ならない位置に置く

日本のテレビで「ワイプ」と言えば、VTRが流れている間、画面の隅に出演者の顔が小さく映るあの小窓のことです。ただ、編集ソフトやスイッチャーの世界では、今も画面を切り替える効果の名前として使われていて、同じ言葉で2つのものを指します。

ワイプの現場での使われ方

バラエティや情報番組では、ロケVTRを流している間に、スタジオの出演者の反応を小窓で見せます。視聴者はVTRの内容と、それを見て笑ったり驚いたりする出演者を同時に見られます。VTRにどう反応するかで場を盛り上げることは「ワイプ芸」とも呼ばれます。

生放送では、サブのスイッチャーでワイプを作ります。放送用のスイッチャーには、映像を縮めて位置を決めるDVEの機能があり、VTRの映像の上にスタジオのカメラ映像を小さく重ねます。配信の現場で使われるBlackmagic DesignのATEM Miniシリーズにも、ボタン1つで小窓を出すピクチャー・イン・ピクチャーの機能があります。

収録番組では、編集の段階でワイプを入れます。Premiere ProやDaVinci Resolveでは、上のトラックに置いた映像の位置とスケールを調整して小窓にします。枠線や角の丸みを付けて番組ごとのデザインにそろえることもあります。

切り替え効果としてのワイプとの違い

ワイプの本来の意味は、図形の境目が画面を横切りながら、前の映像を次の映像に置き換えていく切り替え効果です。まっすぐな線が左から右へ動くもの、円が広がるもの、四角が広がるものなど、スイッチャーには多くの形が用意されています。Premiere Proの「ビデオトランジション」にも、ワイプの項目があります。

四角い形のワイプを途中で止めると、画面の一部だけが別の映像になります。この使い方が小窓の演出の呼び名として定着したと言われます。編集の打ち合わせで「ワイプで」と言われたら、切り替え効果と小窓のどちらなのかを確かめると行き違いを防げます。

ワイプで間違えやすい点・トラブル

小窓の位置は、画面の中の他の要素とぶつかりやすいところです。代表的な注意点は次の通りです。

  • 番組のロゴや時刻表示、テロップと重なる
  • 字幕放送の字幕が表示される位置と重なり、字幕が読みにくくなる
  • 画面の端に寄せすぎて、セーフエリアの外に出る

番組を配信や海外への販売に回すときは、ワイプやテロップを載せていない映像を別に求められることがあります。編集の段階で、ワイプを入れた映像と入れない映像の両方を書き出せるように、レイヤーを分けておくと後で困りません。

よくある質問

テレビのワイプとは何ですか

VTRなどの映像を流している間に、画面の隅の小窓でスタジオの出演者の表情を見せる演出です。英語ではピクチャー・イン・ピクチャーと呼ばれるものにあたります。

ワイプはどうやって作りますか

生放送ではスイッチャーのDVEやピクチャー・イン・ピクチャーの機能で、収録番組では編集ソフトで映像の位置とスケールを調整して作ります。どちらも、上に重ねる映像を縮めて隅に置くという仕組みは同じです。

ワイプとピクチャー・イン・ピクチャーは同じですか

小窓の演出という意味では同じものを指します。ただしワイプには、図形の境目で画面を切り替えるトランジションという本来の意味もあるので、編集の現場では文脈で読み分けます。

似ている用語との違い

名前主に使う場面ワイプとの違い
インサート映像の差し込み画面全体を一時的に別の映像に切り替える。ワイプは本編を映したまま小窓で重ねる
テロップ文字の表示画面に文字を重ねる。ワイプは映像を重ねる
L字画面災害情報や速報画面を縮めて、空いた下と横の帯に文字情報を出す。ワイプは画面の中に小窓を開ける

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