中継局
チュウケイキョク
親局の電波が届かない地域へ同じ放送を届けるために置かれる送信設備です。山の陰や谷間、離島などを埋める役割を持ち、1つの親局の下に多数の中継局がぶら下がる構成になっています。
- 役割
- 親局のサービスエリアから外れた地域に、同じ番組の電波を届ける
- 親局
- 県域などの広い範囲を受け持つ基幹の送信所。中継局はその下位に置かれる
- 番組の運び方(放送波中継)
- 親局や上位の中継局の電波を受信し、増幅して送信し直す
- 番組の運び方(回線中継)
- STL・TTLと呼ばれる局間の回線で放送のTSを運び、中継局で変調して送信する
- 周波数
- 親局と同じ周波数で並べる単一周波数ネットワーク(SFN)と、別の周波数を割り当てる構成がある
- SFNが成立する理由
- OFDMのガードインターバルにより、時間差のある同じ信号が干渉になりにくい
- 運用
- 無人の局が多く、送信機の状態は遠隔で監視する
- 規格上の扱い
- ARIB STD-B31にSFNの同期化やSTL・TTLの運用ガイドラインがまとめられている
日本は国土の多くが山地で、県庁所在地に置いた1つの送信所からでは県内をまかないきれません。山の陰に入った集落、谷筋の町、離島に電波を届けるために置かれているのが中継局です。テレビのチャンネル設定で、同じ放送局なのに地域によって受信するチャンネル番号が違うことがあるのは、この構成によるものです。
中継局が現場で問題になる場面
放送局の技術部門にとって、中継局は日常の保守の対象です。多くが山の上の無人局で、送信機の状態は遠隔監視で見ます。落雷や停電、大雪で1局が止まれば、その中継局が受け持つ地域だけが映らなくなるため、視聴者からの連絡で異常が分かる場面もあります。
もう1つは、設備の更新です。放送方式や周波数の変更は、親局だけを替えれば済む話になりません。1つの親局の下に多数の中継局がぶら下がっているので、同じ作業を全国の局数だけ繰り返すことになります。アナログ放送からデジタル放送への移行に長い期間がかかった理由の1つも、この数にあります。
受信側の工事でも出てきます。共同受信施設やケーブルテレビの頭部設備は、どの中継局から受けるかで受信チャンネルもアンテナの向きも変わります。引っ越しでテレビの再スキャンが必要になるのは、受けている中継局が変わるためです。
親局から中継局へ番組を運ぶ方法
番組を中継局まで届けるやり方は2つに分かれます。
- 放送波中継は、親局や上位の中継局が出している電波をそのまま受信し、増幅して送信し直す方式です。専用の回線が要らず、山の上の局でも組みやすい代わりに、上位の局が止まると下位の局も連鎖して止まります
- 回線中継は、演奏所から送信所へ、あるいは送信所から送信所へ、専用の回線で放送のTSを運ぶ方式です。前者をSTL、後者をTTLと呼びます。ARIB STD-B31には、この区間で必要になる付加情報の扱いがまとめられています
周波数の割り当て方も2通りあります。親局と同じ周波数を使う単一周波数ネットワーク(SFN)と、別の周波数を割り当てる構成です。SFNが成立するのは、OFDMのガードインターバルによって、時間差のある同じ信号が干渉になりにくいからです。ただし到達時間の差がガードインターバルに収まるよう、送信タイミングを合わせる設計が要ります。
中継局が費用の論点になる理由
放送方式の更新を議論するとき、中継局の数は必ず論点になります。地上放送高度化方式のように伝送方式そのものを変える場合、送信機や変調器の入れ替えが全国の中継局に及びます。総務省の検討でも、導入方策は過度な負担が生じないよう慎重に検討する必要があるとされてきました。
同じ理由で、ネットの同時配信を電波の代わりに使えないかという議論も出ます。ただし中継局は、停電や災害時でも電波で届くという放送の性質を支えている設備でもあり、置き換えの是非は費用だけでは決まりません。周波数の使い方を含めた論点は電波オークションの議論でも触れています。
よくある質問
中継局と親局の違いは何ですか
親局は県域などの広い範囲を受け持つ基幹の送信所で、その地域の放送エリアの基準になります。中継局は、親局の電波が地形などで届かない場所を埋めるために置かれる下位の送信設備です。出力も受け持つ範囲も小さくなります。
引っ越したらテレビのチャンネル番号が変わったのはなぜですか
受信している中継局が変わったためです。中継局ごとに使う物理チャンネルが違うので、テレビの再スキャンが必要になります。放送局そのものやリモコンの番号が変わったわけではありません。
中継局が止まると放送はどうなりますか
その中継局が受け持つ地域だけが受信できなくなります。放送波中継でつながっている下位の中継局があると、そこも連鎖して止まります。送信機の状態は遠隔で監視されており、予備系への切り替えや現地対応で復旧します。
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似ている用語との違い
| 名前 | 主に使う場面 | 中継局との違い |
|---|---|---|
| 親局 | 県域の中心を受け持つ送信所 | 放送エリアの基準になる大出力の局。中継局はその電波が届かない場所を埋める |
| 送信所 | 送信設備が置かれた場所 | 施設としての呼び名。中継局は放送のネットワークの中での役割を指す |
| ギャップフィラー | トンネルや地下街の穴埋め | ごく狭い範囲を埋める小規模な再送信設備。中継局は地域単位のエリアを受け持つ |
| 同時配信 | ネットでの同じ番組の配信 | 電波を使わずに届ける手段。中継局の維持費と対比して語られることがある |
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