信号・規格収録編集納品アーカイブ

C2PA

Coalition for Content Provenance and Authenticity / シーツーピーエー

画像や映像が「どこで作られ、その後どう編集されたか」を、署名付きの記録としてファイルの中に入れて持ち回るための技術規格です。生成AIで作られた素材かどうかを見分ける手がかりとしても使われ、Content Credentialsの名前で実装されています。

策定団体
C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)
運営委員会の参加企業
Adobe、Amazon、BBC、Google、Meta、Microsoft、OpenAI、Publicis Groupe、ソニーグループ、TikTok、Truepic
記録の単位
マニフェスト(アサーション、クレーム、クレーム署名をまとめたもの)
アサーション
撮影日時、使った機材、編集操作、生成AIの利用などを記述したラベル付きのデータ
クレーム
アサーションと結び付け情報をまとめたCBORの構造
ハードバインディング
素材そのもの、またはその一部のハッシュ値
格納の形
JUMBF(ISO/IEC 19566-5)のボックス
入れられるファイル形式
JPEG、PNG、ISO BMFF系(MP4、MOVなど)、WAV、PDF、TIFF、SVG、GIF、DNGなど

生成AIで作られた映像が見分けられなくなるほど、素材が「どこから来たか」を後から確かめる手段が要ります。C2PAは、その来歴を素材そのものに署名付きで貼り付けておく方法を定めた規格です。見た目で判定するのではなく、記録を検証するという発想に立っています。

C2PAが使われる場面

いちばん分かりやすいのは、報道の写真と映像です。取材で撮った素材が、撮影から編集を経て公開されるまでの間に、どの工程で何が行われたかを記録として残せます。第三者が持ち込んだ素材の真偽を確かめる作業でも、来歴の記録があれば出どころの照合の出発点になります。

カメラとソフトウェアの側の対応も進んでいます。撮影時に署名を付ける機能を持つカメラ、書き出し時に来歴を追記する画像編集ソフト、生成した画像に「AIで生成した」というアサーションを付ける画像生成サービスがあります。運営委員会にはAdobe、BBC、ソニーグループ、OpenAIなどが並んでおり、制作の道具から公開のプラットフォームまで一連の流れに関わる企業が入っています。

配信プラットフォームでは、来歴の記録を読み取って表示に反映する使い方があります。素材に付いた記録から生成AIの利用が読み取れる場合に、その旨を視聴者に示す仕組みです。

C2PAの仕組み

C2PAが素材に付ける記録はマニフェストと呼ばれ、3つの部分からできています。

  • アサーション。撮影日時、機材、編集操作、生成AIの利用など、署名する側が主張する内容や、記録の作成時に集められた内容をラベル付きで並べたもの
  • クレーム。アサーションと結び付け情報をまとめた、改ざんが分かる形の構造。CBORで表現される
  • クレーム署名。クレームに対して署名者の秘密鍵で付けた署名

素材とマニフェストの結び付けには、ハードバインディングと呼ばれるハッシュ値が使われます。素材の全体、または一部分のハッシュを取っておき、検証のときに突き合わせます。素材を書き換えればハッシュが合わなくなるので、記録と中身のずれが分かります。

マニフェストはJUMBFという箱の形式で素材のファイルの中に入ります。JPEG、PNG、ISO BMFF系のMP4やMOV、WAV、PDFなど、多くの形式に入れられます。編集を重ねるとマニフェストが積み重なり、マニフェストストアとして履歴の連なりを持つ形になります。

C2PAで間違えやすい点

  • C2PAは内容が真実かどうかを判定するものではありません。誰がいつ何をしたと主張したかを検証可能にする仕組みで、主張の中身の正しさは署名者の信頼性に依存します
  • 記録が付いていないことは、偽物であることを意味しません。対応していない機材やソフトを通れば単に付かないだけです
  • 再エンコードや形式の変換でマニフェストが落ちることがあります。SNSへの投稿や一般的な変換ソフトの処理で消えるのは珍しくありません
  • 署名にはタイムスタンプと証明書の検証が要ります。証明書の有効期限が切れた後の扱いは、検証する側の実装で変わります
  • 素材を切り抜いたり縮小したりすると、ハードバインディングのハッシュは合わなくなります。編集を反映するには、編集した側があらためてマニフェストを追記する必要があります

よくある質問

C2PAとContent Credentialsは何が違いますか

Content Credentialsは、C2PAの仕様に沿って付けられる来歴情報の呼び名として使われています。規格そのものと、それを実装したときの表示や機能の呼び名という関係です。

C2PAが付いていれば生成AIではないと言えますか

言えません。記録が付いていないだけの素材も多く、また記録に「生成AIを使った」と書かれていない素材が必ず撮影されたものだとも限りません。判断材料の1つとして扱うのが前提です。

C2PAは動画にも付けられますか

付けられます。仕様はISO BMFF系の形式を対象に含んでいるので、MP4やMOVにマニフェストを入れられます。ただし配信のためにトランスコードすると落ちることがあるため、工程のどこで付け直すかを決めておく必要があります。

似ている形式との違い

名前主に使う場面C2PAとの違い
電子透かし素材への見えない印の埋め込み画素や音そのものに情報を埋める。再エンコードや切り抜きに強い反面、記録できる情報は少ない。C2PAはファイルに付ける署名付きの記録
EXIF写真の撮影情報撮影日時や機材を記録する点は近いが、署名がないため書き換えを検出できない
映像メタデータ素材の検索と管理内容を説明して探しやすくするための情報。C2PAは出どころと改変の履歴を証明するための情報

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