ARIB STD-B80
ISDB-T3による高度地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式 / エーアールアイビーエスティーディービーハチジュウ
地上放送高度化方式(ISDB-T3)の伝送方式を定めたARIBの標準規格です。複数のシンボル長のOFDMと、フレーム同期信号を持つ新しい伝送フレーム構成を規定しています。1.0版は2025年3月25日です。
- 標準規格番号
- ARIB STD-B80
- 標準規格名
- ISDB-T3による高度地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式
- 策定団体
- 電波産業会(ARIB)
- 策定・改定
- 1.0版が2025年3月25日、1.1版が2026年4月16日
- 適用範囲
- 地上基幹放送局(移動受信用地上基幹放送を行うものを除く)による高精細度テレビジョン放送、超高精細度テレビジョン放送
- 伝送フレーム
- フレーム同期信号区間、TMCC区間、サブフレーム区間、拡張区間
- フレーム同期
- PN符号とZadoff-Chu系列を使う
- 誤り訂正
- LDPC符号。Normal符号とShort符号の2種類の符号長
- 1.1版の追加
- MISO、送信局識別コード、PAPR低減機能を付録に追加
- 付録の対象
- 6MHzのほかに7MHz帯域幅と8MHz帯域幅のシステムを規定
ARIB STD-B80は、地上放送高度化方式の3つの呼び名のうち、ISDB-T3だけを扱う規格です。ISDB-T2とISDB-T1.5は別冊のSTD-B79にまとまっているので、目的の方式がどれなのかが分かっていないと、買う規格書を間違えます。B80が扱う範囲は、他の2方式より狭く、かつ作りは大きく違います。
ARIB STD-B80が参照される場面
対象になるのは、高度化方式の送信機や変調器、復調のLSI、電波の測定器の開発と、放送事業者の伝送設備の検討です。適用範囲は、地上基幹放送局のうち移動受信用地上基幹放送を行うものを除いたものが行う、高精細度テレビジョン放送と超高精細度テレビジョン放送に限られます。STD-B79の適用範囲には標準テレビジョン放送も入っているので、この一行が2つの規格の性格の違いを表しています。
規格書の入手はSTD-B79と同じで、ARIBの会員法人は無料でダウンロードでき、一般はARIBのWeb Storeで購入します。日本語版のみです。1.0版が2025年3月25日、1.1版が2026年4月16日に出ています。
ARIB STD-B80が定める伝送フレーム
いちばん目につくのは、伝送フレームの組み立てです。1つの伝送フレームは、フレーム同期信号区間、TMCC区間、サブフレーム区間、拡張区間から成ります。先頭に同期のための区間を置く作りは現行のISDB-Tには無く、フレーム同期信号にはPN符号とZadoff-Chu系列が使われます。
サブフレーム区間の中は、階層とサブ階層という2段の入れ子で分けられます。時間方向のサブフレームと周波数方向の階層を組み合わせることで、1つのチャンネルの中に性質の違う伝送を複数置けます。間欠受信という項目があるのも特徴で、受信機が必要な区間だけ動けばよい構成が意識されています。
誤り訂正はLDPC符号で、Normal符号とShort符号という2種類の符号長が用意されています。変調はQPSKから4096QAMまでで、QAMの座標値はUCとNUCの両方が付録に載っています。
ARIB STD-B80を読むときに間違えやすい点
- ISDB-T3はSTD-B80、ISDB-T2とISDB-T1.5はSTD-B79です。3方式をまとめて地上放送高度化方式と呼ぶため、規格番号と方式名の対応が混ざりやすくなっています
- 付録2に7MHz帯域幅と8MHz帯域幅のシステムが入っています。日本のチャンネル幅は6MHzなので、この部分は国内の放送の話ではありません
- 1.1版で加わったMISO、送信局識別コード、PAPR低減機能は付録に置かれた拡張機能です。本体の伝送方式が置き換わったわけではありません
よくある質問
ARIB STD-B80とARIB STD-B79はどちらを見ればよいですか
方式名で決まります。ISDB-T3ならB80、ISDB-T2かISDB-T1.5ならARIB STD-B79です。両方の全体像を先に押さえたいときは、3方式をまとめて扱う高度化方式の側から読むほうが早道です。
ARIB STD-B80は現行のテレビで受信できますか
規格が定めているのは、現行のISDB-Tとは別の伝送フレーム構成です。フレーム同期信号区間やサブフレームという単位は現行の受信機が想定していないため、そのままでは受信の対象になりません。
ARIB STD-B80の1.1版では何が変わりましたか
伝送方式の拡張機能としてMISO、送信局識別コード、PAPR低減機能が付録に追加され、送信設備に関わる諸条件がガイドラインとして付属に加わりました。
この用語を扱ったコラム
似ている形式との違い
| 名前 | 主に使う場面 | ARIB STD-B80との違い |
|---|---|---|
| ARIB STD-B79 | ISDB-T2とISDB-T1.5 | 現行方式との互換や重ね合わせを前提にした2方式の規格。B80は現行方式の枠組みから離れたフレーム構成を持つ |
| ARIB STD-B31 | いま放送されているISDB-T | 13セグメントのOFDMを前提にした現行の規格。B80はサブフレームと階層・サブ階層という別の組み立てになっている |
| ISDB-S3 | 新4K8K衛星放送 | 衛星側の高度化方式。LDPCと多値変調を使う点は近いが、伝送路も規格も別 |
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