リードソロモン符号
Reed-Solomon code / リードソロモンフゴウ
データをバイト単位のかたまりとして扱い、まとまって壊れた部分を直せる誤り訂正符号です。地上・衛星デジタル放送では外符号として使われ、188バイトのTSパケットに16バイトのパリティを足すRS(204,188)の形が基本になっています。
- 正式名称
- Reed-Solomon code(リードソロモン符号)
- 考案
- 1960年、アービング・リードとガスタブ・ソロモンによる論文
- 扱う単位
- ビットではなくシンボル(放送では1バイト)
- 放送での構成
- RS(204,188)。188バイトに16バイトのパリティを付け、1ブロックあたり最大8バイトの誤りを訂正する
- 位置づけ
- 連接符号の外符号。内符号には畳み込み符号を置く
- 採用している伝送方式
- ARIB STD-B31(ISDB-T)、ISDB-S、DVB-T、DVB-S、DVB-C
- 放送以外での採用
- CD、DVD、ブルーレイ、QRコード、データテープ
- 新しい方式での扱い
- DVB-T2やARIB STD-B79はLDPC符号を採用し、外符号もBCH符号に替わっている
伝送方式の仕様書に出てくる RS(204,188) は、リードソロモン符号のパラメータです。188という数字はTSパケットの長さそのもので、放送の誤り訂正がTSパケットを単位に組まれていることが、この2つの数字から読み取れます。
リードソロモン符号が使われる場面
放送では、送出の多重化から先で必ず通る処理です。現行の地上デジタル放送では、188バイトのTSパケットに16バイトのパリティを付けて204バイトにし、そのあとバイト単位のインターリーブ、畳み込み符号、変調と続きます。受信機はこの逆をたどり、最後にリードソロモン符号で残った誤りを掃除してから元のTSに戻します。衛星放送やDVB-T、DVB-Cでも同じ位置に置かれています。
放送以外でも同じ符号が使われています。CDやDVD、ブルーレイの読み取り誤りの訂正、QRコードの汚れや欠けへの耐性、データテープの記録がその例です。どれも「一部がまとめて読めなくなる」性質を持つ媒体で、この符号が向く条件が揃っています。
現場でこの符号を意識するのは、電波の測定の場面です。地上デジタル放送の測定器は、畳み込み符号で直す前のBERと、リードソロモン符号で直した後のBERを分けて表示します。訂正後のBERがゼロのままなら画面は正常で、ここに値が出始めたら余裕が尽きかけている合図になります。
リードソロモン符号の仕組み
この符号は、ビットではなく1バイトを1つのシンボルとして扱います。1バイトの中で1ビットだけ誤っても8ビットすべてが誤っても、どちらも「1シンボルの誤り」として同じ1個に数えられます。RS(204,188)は1ブロックあたり最大8シンボル、つまり最大8バイトまでの誤りを直せます。
この数え方が、まとまって壊れる誤りに強い理由です。雷やフェージング、車の点火ノイズなどで連続した数十ビットが一度に壊れても、影響が数バイトに収まっていれば訂正の範囲に入ります。逆に、1バイトずつ離れた位置に9か所の誤りが散っていると、誤りの総ビット数は少なくても訂正できません。
このため、前段にはインターリーブが置かれます。送信側でバイトの並びを散らし、受信側で並べ戻すと、伝送路でまとまって壊れた部分が複数のブロックに分かれて入り、それぞれ8バイトの枠に収まります。誤り訂正を1つの符号ではなく、性質の違う符号と並べ替えの組み合わせで設計するのはこのためです。
訂正しきれないとどうなるか
訂正能力を超えたブロックは、直せないまま通過します。TSパケットのヘッダーには誤りがあることを示すフラグが立ち、デコーダーはそのパケットを捨てます。画面では、ブロック状のノイズ、映像の固まり、音の途切れとして出ます。
受信の余裕が減っていくとき、画質はなだらかには落ちません。訂正の限界を超えた瞬間に、正常な映像から破綻に切り替わります。地上デジタル放送で「映るか映らないか」がはっきり分かれるのは、この符号の性質によるものです。
よくある質問
RS(204,188)の204と188は何を表していますか
188バイトのデータに16バイトのパリティを足して、1ブロックを204バイトにするという意味です。188はTSパケットの長さと同じで、この構成で1ブロックあたり最大8バイトまでの誤りを訂正できます。
リードソロモン符号とLDPC符号はどちらが強いのですか
役割が違うので単純には比べられません。LDPC符号は反復復号で理論限界に近い性能を出す内符号で、リードソロモン符号はその手前で残った誤りを整理する外符号の立場です。新しい伝送方式では、内符号がLDPCに替わり、外符号もBCH符号に替わっています。
リードソロモン符号は編集やファイル納品にも関係しますか
ファイルの中身には入っていません。関係するのは、電波や光ディスク、テープのように物理的な誤りが起きる経路です。ファイルをネットワークで運ぶときは、誤りの訂正ではなくパケットの欠落への対処が問題になります。
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